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多くの研究者や…学者…が、自分たちの理論の価値を「証明」しようと焦るあまり、 特殊事例の発見を故意に避けている。 -- C.クリステンセン/M.レイナー, イノベーションへの解, 翔泳社版 p.24
それなりの年齢を重ねて来ましたが、 それでもまだ未熟な点が多々あります、小生…。
そこで、つい本やネットに正解を求めてしまうのですが、時々
「いい年齢で、まだ読書に知を頼ろうとするのは2流」
と言う言説に出会うときがあります。 「読書するな」でネット検索すると、色々出てきます。
某ビジネス誌にもそういった記事が出ていました。
そうかもしれません。
「知を追い求めるだけで一生を費やすなら、いつどこでそれを活かすのか?」 と言う点には一理あります。
しかし、です。
小生は、日々の糧を専門分野の仕事で得て何とか生きていますw。 人は生きていく上で分業を必然としており、 これは地球上の成人全てにあてはまるでしょう。
(完全自給自足の人もまた、その方法を取得するための先達が居た訳で、 これ即ち教え・教わる分業故の結果としての自給自足なわけです。 生まれてからずっと孤立無援のヒトが存在しないことも同じ意味です。)
小生の守備範囲(専門領域)はとても狭く、対して世界(宇宙)は無限です。
学ぶことは無限にあり、そのことと小生の専門領域が芥子粒程度であることは対(つい) の関係です。芥子粒の集合知・集団力の結果として人類社会が成り立っているわけです。
自分の守備範囲でプロとして自立もできず本をめくっていたら失格であることは明らかです。
他方、守備範囲外(例えば、小生で言えば経済学、経理、歴史、社会科学、 心理学、医学、天文学、物理学、大学以上の数学(群論・4元数、など)、哲学、など)は 全くのシロウトであり、先達に教えを乞うばかりです。
ただ、無批判に人の意見を信じるほどの赤子でもありません。
これまでの蓄積としての、論理学・物理学(例えばエネルギー保存則)・数学・自然現象・ 歴史的事件(例えばオランダのチューリップバブル・日本の不動産バブルの教訓)・ 社会科学(例えば唯物弁証法をどう構造的に捉え直すか)、 と言った、人類の歴史に耐えて生き残った文化遺産は参考に値するとも考えています。
小生の師匠はこう言われました:
文化遺産を学ばないものは徒花となって散りゆくのみだ
と。このことを10代のうちに知り得たのは幸運でした。
だからこその、知のポートフォリオなのです。
ポートフォリオとは何も株だけでなく、知のリスク分散にも当てはまる、と考えています。
様々な意見を集め、並べ、整理していると、全体像が見えてきます。
偏った意見の中の正しい部分・間違った部分が見えてきます。
ポートフォリオを組み立てることでリスクは分散されます。
カルトのご宣託などはこの観点から回避できることでしょう。
社畜として会社にどこまでも忠誠し社会的な問題を起こすようなことも避けられるでしょう。
バブルの発生と崩壊を客観視することができるでしょう。
ギャンブルと投資の違いを把握することができるでしょう。
知のポートフォリオの重要性をつくづく実感した次第です。