稲盛和夫



目次
  1. 氏の言葉
    1. 「あの人はばかじゃないだろうか」と疑われるくらい、ニコニコしながら受け流す
      1. 趣味・娯楽
        1. 仮にもリーダーなら、前に出てきて働いてみろ
          1. コールセンターの一件
            1. 報告しろ!
              1. まとめ
                1. 「人を生かす」より
                  1. 「われに続け」
                2. 自らを「狂」の世界に追い込む
                  1. 土俵の真ん中で相撲を取る
                    1. 本音でぶつかる
                      1. 動機善なりや、己に私心なかりしか
                        1. 常に創造的な仕事をする
                          1. 利他、その先にあるもの
                            1. 公私のけじめを大切にする
                              1. 社用車の使用にもけじめが必要
                              2. 「可能性」
                                1. われわれがブームをつくってきた
                                  1. もうダメだというときこそが仕事のはじまり
                                    1. 真の勇気とは…ビビリをもった人が…身につけたもの
                                      1. 従業員・家族のために、命に代えてもこの会社を守っていく
                                        1. 適者生存の闘争心
                                          1. 会社としての一体感とアメーバとしての独立性
                                            1. 分業と経営者意識のせめぎあい
                                          2. 考えぬく
                                            1. 「余裕」とは
                                              1. 人生の方程式: 考え方 × 熱意 × 能力
                                                1. 左翼思想の大欠点
                                                2. お客様第一主義を貫く × (大家族主義で経営する|同士) × 実力主義に徹する
                                                  1. 大家族主義と実力主義をどう調和させるか
                                                    1. 大家族主義か同志か
                                                      1. 「人を生かす」からの示唆
                                                      2. 常に考える
                                                        1. ギリギリの環境で仕事をする
                                                          1. 社長と従業員
                                                            1. 親の遺産は発展要因、怠け根性が停滞要因
                                                              1. 組織もかけ算
                                                                1. 「任せるのではなく、責任を持たせる」
                                                                  1. 個人に戻った瞬間に会社は仮死状態になる
                                                                    1. 「そう思わんといけまへんな」
                                                                    2. 私の考え
                                                                      1. 「一人アメーバによる新規事業開拓」としての副業
                                                                        1. 「ブラック」なる評判への私の考え
                                                                          1. I字型かT字型かピラミッド型か
                                                                            1. n次を究める
                                                                              1. 分業もかけ算
                                                                            2. 私の好きな言葉
                                                                              1. 手の切れる製品
                                                                                1. ど真剣
                                                                                  1. ドケチ経営
                                                                                  2. 参照


                                                                                    (2019年05月)稲盛氏の「人を生かす」(日本経済新聞出版社)を読み、 新たな気づきを得られましたので、更新しています。

                                                                                    稲盛和夫氏の「京セラフィロソフィ」を読んでいます。

                                                                                    大変良いことが書かれています。

                                                                                    [-] 1. 氏の言葉

                                                                                    [-] 1.1. 「あの人はばかじゃないだろうか」と疑われるくらい、ニコニコしながら受け流す

                                                                                    相手が自分に対して悪意を持って何かを仕掛けようとも、「あの人はばかじゃないだ
                                                                                    ろうか」と疑われるくらい、ニコニコしながら受け流すのです。  p.78

                                                                                    何事もポジティブに・前向きに考える際の、人間関係について語られた一節です。

                                                                                    簡単に出来ることではありません。

                                                                                    誰でも、バカにされれば悔しさ・怒り・自責、など 様々なネガティブな感情が沸き起こることでしょう。

                                                                                    私も、小さい頃からしょっちゅうバカにされてきました。 相手の言っていることが良く分からないことが多いのです。 そこで、しばらく数十秒ほど考えてから 返事をするので、クラスメートや先輩後輩は私のことを 頭の回転の鈍いやつと思っていたことでしょう。

                                                                                    (多分、私は頭の中で全く別の関心事を考えていたところを 急に割り込まれたので、もともと短期記憶の小さい私は 急激なメモリスワップが起きていたのでは、 と今の私は自己分析しています。ここの本題ではないので、ここではこれまでw)

                                                                                    人からバカにされ悔しい気持ちはもちろんなのですが、 いつのまにか、私はこう考えるようになっていました:

                                                                                    頭の回転が遅いのは仕方ない。でも、バカにされるのは悔しい。でも、そんなことに
                                                                                    時間とエネルギーを費やすのは無駄もいいとこ。大事なことは目の前にある課題。自
                                                                                    分を信じて突き進むしか無い。

                                                                                    …と。

                                                                                    相手をスルーするので、相手はますます怒り狂います。

                                                                                    でも、もういいのです。

                                                                                    暗黙知の理論によれば、この世はポジティブな複合体です。 相手の悪意は低次元な個体保存本能には沿っているのかもしれませんが、 暗黙知に反しています。

                                                                                    「ポジティブ」に即して組織論的観点から言うなれば、 アジャイル手法によれば、自己組織化こそチームの大事な方向性です。

                                                                                    稲盛氏は社員のベクトルを1つにすることの大事さを何度も説かれています。

                                                                                    鈍かった私もようやく「ポジティブ」の意味が分かってきました。

                                                                                    自分の大事な心構えであると同時に、それはチーム力の源泉でもあり、 宇宙の構成力の鍵でもあったのです。

                                                                                    [-] 1.2. 趣味・娯楽

                                                                                    「仕事だけが人生ではない。趣味や娯楽も必要だ」と言う人がいます。しかし、私に
                                                                                    言わせると、それは本業である仕事に打ち込むことのできない人が、その代替として、
                                                                                    趣味などに自分の喜びを見出そうとしているだけなのです。p.106

                                                                                    大変厳しい言葉です。

                                                                                    私は後の章で「仕事 ≠ 人生」とは言いますが、 仕事に打ち込むこともまた重要、と考えます。

                                                                                    ここはもう少し掘り下げたいところです。 TODO

                                                                                    [-] 1.3. 仮にもリーダーなら、前に出てきて働いてみろ

                                                                                    氏はこう説きます:

                                                                                    「ボケっとしていると部下や後輩に取り仕切られ…るぞ。」…命令でもって人を動かす
                                                                                    のではありません。問題意識を提示すれば自然に人がそこに集まり、周りに渦をつくっ
                                                                                    ていきます。 p.138

                                                                                    また、リーダーの責務をこう説きます:

                                                                                    確かに、後ろにいて全体を見渡すことも必要かもしれません。しかし、後々それを
                                                                                    言い訳に使う人が必ず出てくるはずです。…そのような人には、私はこう言いたい。
                                                                                    「おまえは何を言っているのだ。仮にもリーダーなら、前に出てきて働いてみろ。
                                                                                    おまえも行って注文を取ってこい。注文も取れないような男が、人に『注文を取れ』
                                                                                    と言うな」と。 p.144

                                                                                    率先垂範、という言葉があります。

                                                                                    でも、この言葉を知っているのと、実践しているのとでは、天と地との差があります。

                                                                                    誰もが経験したことではないでしょうか。

                                                                                    私にも経験があります。

                                                                                    [-] 1.3.1. コールセンターの一件

                                                                                    昔、某コールセンターへの新システムの導入で、私も含め 10数名のメンバーがひと月に渡り現地に張り付いて トラブル対応していました。

                                                                                    夜遅くまで残って頑張っていた時です。

                                                                                    私の上司の上司(当時)、現場に全くいないのですが、 プロジェクトの遅れに対して電話越しに怒鳴りあげるわけです。

                                                                                    「何をやってるんだ!」

                                                                                    と。

                                                                                    皆は厳しい顔をしながらも一生懸命状況をその人に報告しているわけですが、 私はこう思っていました。

                                                                                    (こんな無駄な報告会はいらないから、こっちに来てお前やってみろよ)

                                                                                    と。

                                                                                    硬直した組織。報連相の誤解。

                                                                                    駄目な大会社の典型です。

                                                                                    私はエンジニアでしたから、ソースコードなどあればその場で 解析して問題点などを見つけたいのですが、このプロジェクトではデプロイ担当のため、 中で何が起こっているか分かりませんでした。

                                                                                    また、当時は今ほどネットワーク周辺が分かってなかったので、 別部隊のネットワークエンジニアに解析してもらいたく、彼を招聘するよう 提言してみましたが、「現場でお前らもっと調べろ」とのつれない対応。

                                                                                    (だったらお前がこっちに来いよ)

                                                                                    と言う気持ちが沸き起こるのですが、このネットワークトラブルに関しては 自分のレベルの至らなさもあるので、ぐっとこらえていました。

                                                                                    専門家が集まりチームとして対応する、と言う理想とはかなりずれ、 上下間の報告と罵声 + 自身の至らなさ、と言う図式です。

                                                                                    また、こんな一件もありました…

                                                                                    [-] 1.3.2. 報告しろ!

                                                                                    製品納品直後の初期トラブル期の話です。

                                                                                    上司が理解できないのは、私が報告しないからでしょうか?

                                                                                    情報は共有してあるので、いつでも見えるはずです。

                                                                                    問題は当日から発生しており、現場の私達は徹夜で対応していました。

                                                                                    上司は、全く現場にはいません。

                                                                                    1週間経ち、顧客が苛立ち始めて、ようやく放った上司の言葉は

                                                                                    「報告しろ!」

                                                                                    でした。

                                                                                    プロジェクト開始当初から情報は共有されていたのです。

                                                                                    トラブルは導入初日から発生していました。

                                                                                    つまり、その上司は、プロジェクトに付き添いもせず、問題点はおろか、 プロジェクトの内容すら把握できていなかった。

                                                                                    口頭でわずか数分間、上司の分かる形で伝えることが「報告」であり部下の義務、 とその上司は考えていました。

                                                                                    ですが、ご本人の無理解を棚に上げてのそれでは、話になりません。

                                                                                    組織の上下関係とはそういうものだろうか?と疑問に思いつつ 私は苛立ちを抑えていました。

                                                                                    しかし、今になって見れば、はっきり言うことが出来ます。

                                                                                    当時のその上司は、上司失格である、と。

                                                                                    上司が理解できる手短な言葉にまとめて伝えてあげることは報告でもなんでもありません。

                                                                                    問題をすくい取り全体をまとめる、と言うのが上位の責務です。 それを怠り、問題発生して1週間して 怒りだすのは上司でもなんでもありません。

                                                                                    現場に来て問題点を直す人材こそ貴重で、 そういう人こそが会社に必要な人のはずです。

                                                                                    「報・連・相」が逆立ちして理解されてきた最大の弊害が、 私の目の前で起こった、と客観的に言えるようになるには長い年月が必要でした。

                                                                                    このエピソードには後日談があります。

                                                                                    この方、私が開発したそのシステムを10年後に引き継ぎお守りしていたのですが、 見事に自ら同じ目に会ったことでした。

                                                                                    必要な人材とは、自己組織化できる人材であり、 硬直した組織などいらない、 ということです。

                                                                                    [-] 1.3.3. まとめ

                                                                                    組織は移ろいやすいものです。

                                                                                    理想的と思えた某職場も、リーダが代替わりした途端、 旧態然とした硬直したトップダウンの組織に変わってしまいました。

                                                                                    しかし、私も一歩大人になりました。

                                                                                    批判だけではだめです! >自分

                                                                                    まだまだいい職場なのだから、率先垂範してチームが1つとなり、 自己組織化していけるよう、実践しています。

                                                                                    [-] 1.3.4. 「人を生かす」より

                                                                                    予定外の来客に会う必要などありません。
                                                                                    ...
                                                                                    あなたが毎日現場に出て、大ベテランになるのです。
                                                                                    ...
                                                                                    会議をやってみんなに、「意見はないか」といったところで出るわけがありません。
                                                                                    (p.52〜55)

                                                                                    社長こそが会社を引っ張っていくリーダーの最終責任者なのです。

                                                                                    [-] 1.3.4.1. 「われに続け」

                                                                                    p.218

                                                                                    ワンマンであり独裁者であり「われに続け」たるものがリーダー。

                                                                                    [-] 1.4. 自らを「狂」の世界に追い込む

                                                                                    p.148

                                                                                    TODO

                                                                                    [-] 1.5. 土俵の真ん中で相撲を取る

                                                                                    一生懸命金策に走り回ってなんとか手形を落とすと、そこで満足してしまって、何か
                                                                                    大きな仕事をしたような気になっている…。しかしながら、手形は落ちて当然であっ
                                                                                    て、その経営者はいいことをしたわけでも…ありません。…「土俵の真ん中で相撲を取
                                                                                    る」とは、「余裕のある時に全力でことに当たる」ということです。 p.155〜157

                                                                                    一方で「狂の世界に自分を追い込め」、とハッパをかけ、 他方で「余裕のある時に全力でことに当たれ。苦しくなってからで後手後手で状況はますます悪くなっていく…。」 と諭される。

                                                                                    まさに前門の虎・後門の狼、です。

                                                                                    余裕があってもなくても、どちらも会社の成長につながらないなら、 自己満足に過ぎない!

                                                                                    と厳しく諭されているのです。

                                                                                    今の私にこそ当てはまる言葉です。

                                                                                    [-] 1.6. 本音でぶつかる

                                                                                    …ただし、本音丸出しで議論をするにしても、ルールがあります。まず、相手の欠点
                                                                                    をあげつらったり、足を引っ張り合うようなことでは当然いけません。 p.171

                                                                                    幸い、私の周囲はシステム構築の職場なので、嘘・偽りはコンピュータにもチームにも通じません。

                                                                                    しかしながら、過去、私の居た職場には、

                                                                                    「お前の意見は聞かない」、 「殴ってやりたい」、 「こっちに来るな」、 (顧客に怒られているにも関わらず)「自分はベストを尽くしている」

                                                                                    …などと言う方が職場を乱していて、士気もへったくれもありませんでした。

                                                                                    ウェルス・テクノロジーには、そんな人は幸いおりません。

                                                                                    [-] 1.7. 動機善なりや、己に私心なかりしか

                                                                                    大変有名な言葉です。

                                                                                    そして、大事なことは、金科玉条のように唱えることではもちろんなく、 この言葉に沿って常に自分の行動に捉え直すことです。

                                                                                    自分に都合のいい判断をせず、客観的に正しい判断をする。p.172

                                                                                    ロシアの視点から日本に提言されている北野氏は自らを 「家族もうんざりするほどリアリスト」と言われています。

                                                                                    そうです。北野氏も稲盛氏も指摘するよう、 リアリストでなければならないのです。

                                                                                    [-] 1.8. 常に創造的な仕事をする

                                                                                    もし、京セラが「単品生産でも利益が出ているから」と言って、そのまま松下電子工
                                                                                    業向けのブラウン管用部品の生産に安住していたら、今ごろはどうなってたでしょう
                                                                                    か。…最初の製品のU字ケルシマも、苦心惨憺してつくったカソードチューブも必要な
                                                                                    くなってしまいました。 p.194

                                                                                    私はここに、クリステンセンの言う「破壊的技術」を見ました。 クリステンセンの書には、日本企業ではソニーくらいしか登場しなかったかと 思うのですが、実に京セラもそうではないでしょうか。

                                                                                    私は、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」 「破壊的技術」を、企業の寿命を決定する非常に重要な理論だと考えているのですが、 京セラも大変重要な注目すべき企業なのです。

                                                                                    [-] 1.9. 利他、その先にあるもの

                                                                                    地球にある生きとし生けるもの、全てのものが一緒に生きていけるようにすること、
                                                                                    それが利他なのです。 p.203

                                                                                    「利他の心」を説く時、常に沸き起こるのが、 「どこまで自分を犠牲にすればよいのだろうか」という点です。

                                                                                    氏は、極論として「お前の会社も利益率10%とっているではないか。 それは利己的ではないのか」と敢えて問題を投げかけています。

                                                                                    そして、その答えが、上に引用した「全てのものが一緒に生きていけるようにすること」 なのです。

                                                                                    私は、利他か利己か、と言う問題設定そのものが誤解を生じやすい、 と考えるに至りました。 幸い、私達は「3方良し」と言う考え方を持っています。 これこそが最適解であり、「全てのものが一緒に生きていけるようにすること」 とも合致する、私達の進むべき方向性ではないでしょうか。

                                                                                    [-] 1.10. 公私のけじめを大切にする

                                                                                    「公私のけじめを大切にする」…当たり前とは言え、このような具体的で 生々しい事例があればこそ、その重みも伝わろうと言うものです:

                                                                                    身内の恥をさらすことになりますけれども、アメリカにあるわれわれのグループ会社
                                                                                    で、このこと(公私混同)が問題になったことがありました。…業者にとってみれば、
                                                                                    京セラの製品を売る権利がもらえれば、当然自分のところのビジネスを大きくするこ
                                                                                    とができるわけですから、ぜひとも契約を結びたいと思うわけです。あるとき、ある
                                                                                    営業部長が「どこと代理店契約を結ぶかは、営業部長である私が決める。」…と言って
                                                                                    …営業部長が業者からリベートをもらっていた、という事実が発覚したのです。
                                                                                    私は、即座にその営業部長を首にしました。 p.233〜

                                                                                    [-] 1.10.1. 社用車の使用にもけじめが必要

                                                                                    社用車に対する、大変含蓄のある事例です。

                                                                                    ある官庁出身の役員が定時になって帰ろうと思い、外に出てみると、車がない。…総
                                                                                    務の人間が、他の要件でその車を使ってもらっていたのです。…「営業部長ごときが
                                                                                    おれの車を使った」と、ものすごい剣幕で怒鳴りだしたのです。…私は、その役員に
                                                                                    こう言いました。「四六時中有意注意で、ど真剣に物事を考えなければならない。そ
                                                                                    んな中で、朝晩の通勤時に…余計なことに気を遣わせるより、その間も仕事のことを
                                                                                    考えることができるように…車を用意しているのだ。営業部長がたまたま車を使った
                                                                                    くらいで激怒するような、その程度の男に、車をつけているわけではない」
                                                                                    …京セラでは、最初は私が自分で、しかもスクータを運転していました。…しばらくし
                                                                                    て…スバル360になりましたが、それでもやっぱり私が運転して、走り回っていたので
                                                                                    す。p.235〜

                                                                                    確か、未来工業も、社有車に関して、ユニークな考えがあったはずです。 思い出したら、ここに書いていきたいです。

                                                                                    [-] 1.11. 「可能性」

                                                                                    大事な言葉なので、カッコ「」付きで書きました。

                                                                                    できない条件を山ほど挙げて、簡単にあきらめてしまう。
                                                                                    …可能性を追求していかなければならないのです。 p.255

                                                                                    私の師匠もこう言いました:

                                                                                    ダメ人間ほどできない理由を挙げる

                                                                                    …と。

                                                                                    そして、私は、暗黙知の発動を可能性の実現、と捉えています。

                                                                                    [-] 1.12. われわれがブームをつくってきた

                                                                                    評論家やジャーナリストの中には、次のように的はずれなことを言う人もいました。
                                                                                    「京セラがこれだけ発展し、立派になったのは、…時流に乗ったからだ」
                                                                                    …みんな何もわかっていない。われわれが(セラミックス)ブームをつくってきた。
                                                                                    p.258〜

                                                                                    私は、ここに、京セラの本物度を確信することが出来ます。 「創る」ことの尊さを知っているからです。それは、創発であり、 技(わざ)であり、認識なのです。

                                                                                    それと同時に、評論家という人たちの悲しさをも再認識せざるを得ません。 …が、もう評論家については述べる時間割くだけ無駄ですので、 ここまでとしたいと思います。

                                                                                    [-] 1.13. もうダメだというときこそが仕事のはじまり

                                                                                    この言葉も有名です。

                                                                                    ただ、あまりに厳しい言葉なので、私は「果たして自分は京セラフィロソフィ について行けるだろうか?」と躊躇してしまいます。

                                                                                    しかし、続けて稲盛氏は言います:

                                                                                    余裕のある経営を心がけてきた京セラにとっては、「もうダメだというとき」とは、
                                                                                    まだ本当に駄目にはなっていない状態なのです。

                                                                                    首をくくるところまで行ってしまってはいけない、ということです。

                                                                                    他方、ではその「余裕」とは具体的にどういうことか?氏は続けます:

                                                                                    …「車もサラ金に取られてしまって、残ったのは借金とわずかな従業員だけ。もうあ
                                                                                    きらめた」と言っているのを聞くにつけ、私は「自動車がないなら、自転車があるだ
                                                                                    ろう。さらにそのお金もないなら、町の中に、捨てられた自転車などいくらでもあ
                                                                                    る。その自転車でやればいいじゃないか」と思うのです。 p.274

                                                                                    ここにドン引きする人はいるでしょうか?

                                                                                    私は、大丈夫でしたw。 なぜなら、私も学生時代は(周りの同級生が車を乗り回していた横で) 自転車で生活していたものですからw

                                                                                    [-] 1.14. 真の勇気とは…ビビリをもった人が…身につけたもの

                                                                                    仕事を正しく進めていくためには勇気が必要です。…しかし、そこでの勇気とは、蛮
                                                                                    勇…とは違います。真の勇気とは、自らの信念を貫きながらも、節度があり、怖さを
                                                                                    知った人、つまりビビリをもった人が場数を踏むことによって身につけたものでなけ
                                                                                    ればなりません。 p.298

                                                                                    大変勇気をもらえる言葉です。

                                                                                    蛮勇の具体例として、氏は大学時代空手をやられていたご自身を挙げ、

                                                                                    腕に多少自身があるという人は、だいたい気が荒くて向う気が強い。そのために、
                                                                                    しなくていいけんかをし、強引に仕事を進めて、結局失敗するケースが多いのです
                                                                                    p.300

                                                                                    と言われる。他方、真の勇気の具体例として、お金を借りる・事業を展開する際の 場数を挙げられています。

                                                                                    もちろん、経営者は、体力があるひとは駄目で気の弱い人が良い、という 単純な話ではありません。

                                                                                    氏ご自身のように、空手経験・けんか経験がありつつも細心かつ注意深い 「真の勇気」を兼ね備えている人がいる一方で、ビビりっぱなしで 心まで弱くなってしまい、真の勇気を持つことを放棄した人も多いことでしょう。

                                                                                    また、蛮勇と真の勇気は対立や背反ではなく、別種の心理、と捉えることが できます。

                                                                                    「対象の構造に分け入る」と言う科学の基本から考えるならば、

                                                                                    • 蛮勇は、主観的・暴力的、
                                                                                    • 真の勇気は、科学的・合理的

                                                                                    …と言えるのではないでしょうか。

                                                                                    [-] 1.14.1. 従業員・家族のために、命に代えてもこの会社を守っていく

                                                                                    p.304

                                                                                    この凄まじい気迫・信念。

                                                                                    私に経営など出来るだろうか、と悩んでいましたが、私にも家族がいます。

                                                                                    [-] 1.14.2. 適者生存の闘争心

                                                                                    氏は前掲で「蛮勇ではダメだ」と言われていますが、こうも言われています:

                                                                                    経営者ほど、ボクサーやレスラー、力士などに必要とされる闘争心が要求されるもの
                                                                                    はない…しかし、誤解してはなりません。闘争心と言っても、「相手を打ち負かす闘争
                                                                                    心」ではないのです。…例えば路傍の草木を見ても、…陽の光を少しでもたくさん浴び
                                                                                    ようと精一杯葉を伸ばし、…一生懸命に、「生きよう、生きよう」と務めています。そ
                                                                                    のような草は、隣に生えている草を打ち負かそうなどとは思っていません。つまり、
                                                                                    「適者生存」が自然界のルールなのです。…私たちが持つべき闘争心とは、相手を倒す
                                                                                    ためのものではなく、自分が精一杯に生きていくためのものでなければなりません。
                                                                                    p.306〜

                                                                                    まとめます:

                                                                                    • ✕ 蛮勇・しなくていいけんかをする・相手を倒す
                                                                                    • ○ 細心・信念・節度・科学的・適者生存・三方良し

                                                                                    [-] 1.14.3. 会社としての一体感とアメーバとしての独立性

                                                                                    組織の中に埋没し、いつの間にか組織にぶら下がるようであってはいけません。 アメーバの自立性は大事です。

                                                                                    自分の食い扶持は自分で稼ぐのだ、いや、それ以上に稼いで会社に貢献するのだ
                                                                                    …そのため京セラでは…「時間当り採算制度」を採用しています。
                                                                                    p.310

                                                                                    他方、会社としての一体感も重要視しており、それが稲盛流コンパや 給与制度に現れています。

                                                                                    会社としての一体感とアメーバとしての独立性、この相反する要求を 見事に統一するのが稲盛氏の手腕であり経営の要諦だと理解しました。

                                                                                    [-] 1.14.3.1. 分業と経営者意識のせめぎあい

                                                                                    もちろん、反論もあることでしょう。

                                                                                    • 「家族主義なんて、気持ち悪い」
                                                                                    • 「家族主義を持ちだして無限に貢献させられるのでは?」
                                                                                    • 「貢献への報酬は給与で」

                                                                                    ここはもう少し掘り下げて考えて行きたいと考えています(2017/09時点)。

                                                                                    [-] 1.15. 考えぬく

                                                                                    第二電電の苦難は p.321〜に有りありと書かれています。 社長の森山氏も「もう駄目です」と弱音を吐く。

                                                                                    そんな中の稲盛氏の苦闘はいかほどであったか…。

                                                                                    しかし、稲盛氏はこう言われます:

                                                                                    あたかも一度通った道であるかの如く思えるまで考え抜き、あるいはシミュレーショ
                                                                                    ンしていったことが、…第二電電が成功を収めた要因であったかと思います。p.323

                                                                                    疑いようはありません。なぜなら他の通信会社が撤退した一方で 第二電電は au として今も燦然と輝いているからです。

                                                                                    [-] 1.16. 「余裕」とは

                                                                                    • 松下幸之助氏の「ダム式経営」
                                                                                    • 何日でも獲物を追えるだけの準備をするアフリカの狩猟民。 家族を飢えさせないためにこその必至の「仕事」
                                                                                    研究開発にしても、やはり資金面に余裕がなければ、何年も続けていくことはできません。
                                                                                    p.328〜

                                                                                    [-] 1.17. 人生の方程式: 考え方 × 熱意 × 能力

                                                                                    大変有名な金言です。

                                                                                    人生・仕事の結果 = 考え方 × 熱意 × 能力

                                                                                    ここで、

                                                                                    考え方:-100..100
                                                                                    熱意:0..100
                                                                                    能力:0..100

                                                                                    …です。

                                                                                    ポイントは、

                                                                                    1. 足し算でなく掛け算であること
                                                                                    2. 考え方にマイナスがあり得ること。

                                                                                    氏は、叔父を引き合いに出します:

                                                                                    そのおじさんは…自分が仕事もせずに遊んでいることを正当化するために、「隣のばかは
                                                                                    起きて働く」と言い出したのです。p.332〜

                                                                                    その叔父が、まだ地位も立派であれば、(人を見下して…)と言いたいところを ぐっとこらえてまだ謙虚に叔父の言わんとするところを理解しようとするかもしれません。 しかし、氏の叔父という方はそうではありませんでしたね…。

                                                                                    私もそういう人を見聞きしました。「〜したら負け」と言う人を。

                                                                                    でも、そういう人が一方でこそこそと同じことをしていたり羨んでいる。

                                                                                    「すっぱいブドウ」の理論は、多くのことに適用可能だといつも再認識する次第です。

                                                                                    また、氏は別のところで「30年のスパンで見れば、人の考えと結果はぴたりと一致する」とも 言われています。

                                                                                    つまり、

                                                                                    人を見下すような人は、そのマイナス思考によって、 その人の今現在の地位に限らず、人生の方程式によってマイナスの結果となる

                                                                                    と言うことです。

                                                                                    残念ながら、人を dis る人が多い職場に私は居ました。

                                                                                    とは言え、そういう職場に居た、という私の結果は、「私のそれまでの 考え方と熱意と能力の結果なのだ」と受け入れるしかありません。

                                                                                    氏のフィロソフィーを胸に刻み、臥薪嘗胆、ウェルス・テクノロジーを 立ち上げた次第です。

                                                                                    [-] 1.17.1. 左翼思想の大欠点

                                                                                    マイナスの考え方によって人生をマイナスにしてしまう例として、 氏はよど号ハイジャック事件の犯人を p.337〜に挙げています。

                                                                                    今で言えば、オウム事件でしょうか。

                                                                                    エリート達が「大義名分」によって人を殺してきた事件です。

                                                                                    彼らの大義名分と、稲盛氏の大義名分は180度異なります。 「〜を殺せば世の中が良くなる」と言うの彼らの大義名分は、 自分の屈辱感の裏返しで「しか」ありません。

                                                                                    そして、ターゲットを貶めることに全力を注ぎます。

                                                                                    その結果どうなったか…。

                                                                                    内ゲバ、「増税しない」と言って選挙に勝った途端に増税した政党、 不倫議員を声を上げて非難していた当の本人が不倫していたお方がその典型でしょうか。

                                                                                    …うんざりです。彼らのそれは大義名分でもなんでもありません。 私義でしかありません。

                                                                                    他人の欠点ばかり目につく人は、自分の鏡なのです。

                                                                                    氏の方程式は、マイナス思考がいかに人類社会を破壊してきたかを ものの見事に1行で表しています。

                                                                                    [-] 1.18. お客様第一主義を貫く × (大家族主義で経営する|同士) × 実力主義に徹する

                                                                                    p.392〜p.411 辺りを私なりに要約したのがこれです:

                                                                                    お客様第一主義を貫く × (大家族主義で経営する|同士) × 実力主義に徹する

                                                                                    一見、当たり前のことが書かれているように見えます。

                                                                                    しかし、そうではありません。

                                                                                    一言で「お客様第一」と言っても、 常日頃血の滲むような技術開発を行い夜中に納品する地道な行動が取れるか、 ということです。

                                                                                    京セラはこれを有言実行されてここまで来られたのでしょう。

                                                                                    翻って、私のケースですが、 昔、ある同僚は、人の失敗には怒鳴り声を上げて非難しておりました。

                                                                                    数年後…。そのご自身が全く同じ失敗をした時、「ベストエフォートで頑張っている」 と言い訳を始めたことでした。 残念過ぎる一瞬でした。

                                                                                    ウェルス・テクノロジーを立ち上げる時だと決意した次第です。

                                                                                    [-] 1.18.1. 大家族主義と実力主義をどう調和させるか

                                                                                    [-] 1.18.2. 大家族主義か同志か

                                                                                    「大家族主義」の中身は検証する必要があります。

                                                                                    なぜなら、何を持って大家族主義と称するのか、それによってブラックからホワイトまで 振れるでしょうから。

                                                                                    私は、人によって多様に捉えられがちな「大家族主義」よりは、 同志(本の中ではパートナーシップと称されていました)が良いのではないかと 思っています。

                                                                                    もっと掘り下げる必要がありますね。

                                                                                    [-] 1.18.3. 「人を生かす」からの示唆

                                                                                    大家族主義と実力主義はどう掛け合わされるのか。

                                                                                    一つのヒントが「人を生かす」に書かれてありました。

                                                                                    京セラの経営理念は、「全従業員の物心両面の幸福を追求する…」
                                                                                    ...
                                                                                    従業員の幸福を守ろうと思うからこそ、私はいい加減な仕事をしている社員を厳しく叱りました。  
                                                                                    (p.56)

                                                                                    「小善は大悪に似たり」「大善は非情に似たり」…、そういうことでした。

                                                                                    [-] 1.19. 常に考える

                                                                                    自分で考えて自分で行うということが、いつの間にか京セラの伝統になりました。
                                                                                    p.424

                                                                                    「常に考える」…釣りです。

                                                                                    私は、未来工業や京セラ等のいい所を吸収してウェルス・テクノロジーを 今より良い会社にできないかと常に考えてきました。

                                                                                    片や一日7時間の就業時間・片やストイックな就労と噂の京セラ…。

                                                                                    一見、正反対の両企業ではありますが、どちらも私には大変示唆的で、 なんとか色々な会社の良い所を吸収できないかと考えてきたわけです。

                                                                                    「水と油を混ぜるようなもの。必ず失敗する」と言うのが大方のご意見かもしれません。

                                                                                    もちろん、簡単に足せば良い、と言うものではないことは私も承知しております。

                                                                                    しかし、 ボトムアップ的に進めるのであればうまく行くのではないか、 と最近気づきました。

                                                                                    なぜかと言いますと、既にある程度の規模となっている会社には、 既に何らかの企業カルチャーが染み付いていて、他の手法は簡単には馴染みません。

                                                                                    しかし、ウェルス・テクノロジーは小さな企業です。試行錯誤しながら 色々な手法を実験していくだけの余裕はあるわけです。

                                                                                    乞うご期待です。

                                                                                    さて、氏は経営とは孤独なんだと諭します:

                                                                                    自分の力で歩くことをしないで、「経営をうまくいかせるためには、どうすればいい
                                                                                    のですか」と、常に人に聞いている人がいます。そんな生き方では、人生も歩けない
                                                                                    し、経営だってうまくいくはずがありません。p.425

                                                                                    まるで、稲盛氏自ら盛和塾を全否定されているかのような一文です(゚д゚;)

                                                                                    多分、違うのだとは思うのですが、ここについてはもう少し考えていきたいです(TODO)。

                                                                                    [-] 1.20. ギリギリの環境で仕事をする

                                                                                    ある夜、食事のときに母が「今日も村の人が寄られて、サツマイモが余ったからと安
                                                                                    く分けてもらった。よかった」と父に話していました。…父は仏頂面をしながら「また
                                                                                    か、ばかが!」と怒っています。…まとめ買いで易く手に入れたと思っても、これく
                                                                                    らい高くつくものはないな」と思ったのです。p.510〜

                                                                                    余裕のある資金・低利融資・まとめ買い…これらの負の側面を取り上げています。

                                                                                    氏は前掲で「土俵の真ん中で相撲を取る」と、余裕の大事さを説かれています。

                                                                                    他方、その余裕が、死金・むだを生む危険性をもここで説かれているわけです。

                                                                                    ここで私は、某ファンドマネージャが、低利融資の危険性を説かれていたことを 思い出します。

                                                                                    会社運営には、銀行・証券・商工ローンなど様々な資金繰りがありますが、 じゃぶじゃぶと融資を受けると、会社側がそのありがたみを感じず、 安易に使ってしまう、という話です。

                                                                                    これもまた、前門の虎・後門の狼、なのです。

                                                                                    この相反する要求に、どう向き合うか。

                                                                                    私は、「常に前進する」しかない、と考えるに至りました。

                                                                                    具体的には、下記となるかと思います:

                                                                                    1. 停滞しない(停滞は死)
                                                                                    2. 経営とはキャッシュフローを積み上げること
                                                                                    3. 社内政治に走らない

                                                                                    [-] 1.21. 社長と従業員

                                                                                    私は「誰にも負けない努力をする」と…経営者のみなさんにいっているのです。
                                                                                    …
                                                                                    一般の社員たちは、一日八時間という所定の労働時間内で働きます。
                                                                                    …
                                                                                    経営者は無制限一本勝負でがんばらなければなりません。
                                                                                    「人を生かす」p.106〜

                                                                                    稲盛氏(の本)と出会って私の最大の疑問が「会社の皆が不眠不休を要求されるのでは?」 と言う点でしたが、ここでようやく解決に至りました。

                                                                                    もちろん、ウェルス・テクノロジーの経営者と言う点で何の変わりもありません。

                                                                                    [-] 1.22. 親の遺産は発展要因、怠け根性が停滞要因

                                                                                    「人を活かす」p.119 の言葉です。2世経営者への重大な警告ですが、 親が自分と同じ年齢の時どうだったか、に考え至れば、 2世でなくともあてはまる言葉ではないでしょうか。

                                                                                    [-] 1.23. 組織もかけ算

                                                                                    「組織は石垣」(人を活かす p.186)

                                                                                    は、組織のかけ算を実体で(ビジュアルで)捉えることが出来ます。

                                                                                    [-] 1.24. 「任せるのではなく、責任を持たせる」

                                                                                    「人を生かす」(p.188〜)の言葉です。

                                                                                    私は誤解していました。

                                                                                    コンサルタントの無責任な発言への稲盛氏の怒りも伝わってきます。

                                                                                    責任を持つとは、部門の将来や部下の生活にも責任を持つ、ということでした!

                                                                                    [-] 1.25. 個人に戻った瞬間に会社は仮死状態になる

                                                                                    [-] 1.26. 「そう思わんといけまへんな」

                                                                                    松下幸之助氏の言葉です(「人を生かす」p.255)。

                                                                                    周囲から失笑が漏れるなか、稲盛氏はこの言葉に衝撃を受けます。

                                                                                    ここを私は強調せざるを得ません。

                                                                                    [-] 2. 私の考え

                                                                                    この章では、個別の稲盛氏の言葉を離れ、 ざっくりと私の考えを書いていきます。

                                                                                    [-] 2.1. 「一人アメーバによる新規事業開拓」としての副業

                                                                                    副業を、ポジティブに「一人アメーバによる新規事業開拓」 と捉えることはできないでしょうか。

                                                                                    もちろん、コンビニバイトレベルの副業であれば、 創造性・勇気・三方良しの京セラフィロソフィとは無縁です。

                                                                                    しかしながら、衰退業種でくすぶっている人にとって、 創造性・勇気・勇気・三方良しが問われる副業を模索することは意義があると言えないでしょうか。

                                                                                    私は、残業はするべきでない、と考えています。 なぜなら、仕事と人生はイコールではないからです。

                                                                                    京セラでは人財として皆さん創造性のある仕事に打ち込まれていると思うのですが、 世の多くの会社などではそのように扱われてない人もいるのではないでしょうか。

                                                                                    世の多くの会社が社員を使用人として使い捨てのように扱っているのであれば (京セラはそうでないと想像していますが)、 自衛として・また人生の意義を本業以外に見出すことも許される、と私は考えています。

                                                                                    私は、この世に生まれてきた一人ひとりの使命は、 次世代にこの文化を繋いでいくことだと考えています。

                                                                                    そこにはもちろん仕事することも含まれますが、 偉大な人の遺された様々な芸術・人類の精緻な結晶としての宗教・ 一般教養としての他分野の探求・恋愛・家庭、なども含まれます。

                                                                                    この大枠の視点に沿うのであれば、副業もまた意義のあることでしょう。

                                                                                    そして、この大枠の視点から見れば、本業での過労死や自殺は あってはいけないことなのです。

                                                                                    [-] 2.2. 「ブラック」なる評判への私の考え

                                                                                    「京セラ 稲盛和夫」でネット検索すると、氏の偉大な功績を発見すると共に 何やら妙な情報に引っかかることもあります。

                                                                                    物事の両面を知る、と言う意味でそのような情報に接することもあって良いとは 思いますが、一点、押さえておきたい事があります。

                                                                                    それは、批判だけでは駄目だ、ということです。

                                                                                    私は、実践者が批判者の100万倍(氏の方程式に則して言えば、 ネガティブ者の-100万倍)偉いと思っています。

                                                                                    氏を批判する方には、

                                                                                    「ぜひ批判するだけでなく、稲盛氏を唸らせるだけのホワイト企業を作っていただきたい」

                                                                                    とお伝えしたいのです。

                                                                                    そうでなければ、それらは全くの力を持ち得ず社会を混乱させてきただけの 某勢力と全く変わらないのですから…。

                                                                                    [-] 2.3. I字型かT字型かピラミッド型か

                                                                                    I字型人間とは、1つのことにのみ秀でた人を言います。

                                                                                    T字型人間とは、自身の専門と広い一般教養を兼ね備えた人を言います。

                                                                                    (この他に V型とかW型とか△型とか色々な定義があるみたいですが、 面倒なのでw ここではT字型に代表してもらいます)

                                                                                    私は、漠然とT字型が良いと思っていました。

                                                                                    一芸に秀でて社会性が全く無いいわゆる「専門バカ」が本当に良いのか?

                                                                                    もちろん、ノーベル賞級の頭脳を持たれる方や「空手バカ一代」に代表される、 一芸に秀でて良しとされる方もおられるでしょう。

                                                                                    しかし、凡人(含む私)がノーベル賞級の功績を目指すまで他には目もくれない、 ということが推奨されるのであれば、それはやはり違うのではないだろうか、 と思うのです。

                                                                                    また、一芸は多芸に通ずる、とよく言われますが、私はこれも違うと思います。

                                                                                    なぜなら、仮に「一芸は多芸に通ずる」のであれば、 人類がこれだけ誤った方向に進むわけは無いからです。

                                                                                    仮に一芸に秀でることで多芸に通じるのであれば、 優秀なエンジニアは誤った政治・誤った戦争・誤ったトップの判断を 覆せるわけですが、そうでなかったことは歴史を顧みれば分かるからです。

                                                                                    片や、国宝級の絵画・建築・工芸品を作成される方がおられる一方で、 世界がこれだけ荒れてきたのは何故でしょうか…。

                                                                                    また、京セラフィロソフィを読んで感じたのは、稲盛氏のその多様な感性です。

                                                                                    • 仲間にうどんをおごるクラスメートのその心配りに、 頭を殴られたような衝撃を受ける (〜p.106)
                                                                                    • 微細な実験器具の掃除に精を出す先輩研究者の姿勢に衝撃を受ける (p.TODO)
                                                                                    • 宗教の大切さを経験しておられる。

                                                                                    これは、多様な世界に対する氏の敬虔な感受性の賜物ではないでしょうか。

                                                                                    …ところで、暗黙知の理論や不完全性定理は、 ひとつの世界の限界と別の世界への創発を提示します。

                                                                                    つまり、一芸と世界との関係を突きつけています。

                                                                                    従いまして、ここはやはり、一芸を己の専門家として探求しつつも、 それ以外の世界もまた学ぶ必要がある、と私は考えます。稲盛氏のように。

                                                                                    このことを、私は、ピラミッド型人間、と言ってみたいと思います。

                                                                                    ピラミッドとは、層の理論(暗黙知の理論)を表現したものです。

                                                                                    「T型」とピラミッド型の違いは、ピラミッド型の方がより構造的な点でしょうか。

                                                                                    氏は、従順な国民の上に軍事政権ができてしまったミャンマーの例を挙げ、 こうも言われています:

                                                                                    私が言っているのは、そのように、ただ従順になれという意味のことではないのです。
                                                                                    p.69

                                                                                    ここでは、「謙虚な心」の構造について触れられているのですが、 一所か否かの点についても関係してくるものと思われます。

                                                                                    セラミック技術を核に事業を多様な展開された例にもある通り、 世界に貢献する3方良しとするためにも、 自らの専門を核に世界に発信できる体制がウェルス・テクノロジーにも必要だ、 と結論するに至りました。

                                                                                    [-] 2.3.1. n次を究める

                                                                                    一つの物事を究めれば万般に通じていくのです。
                                                                                    (京セラフィロソフィ p.135)

                                                                                    本当に「1つ」だけ究めれば良いのか、ずっと疑問として残っていました。

                                                                                    しかしながら、上のように言われる稲盛氏ご自身が、技術者であり 経営者であり宗教家であることを考えると、 また、二宮尊徳の思想を考えると、やはり専門を極めつつも他領域も大いに 学ぶことが大事だと思うようになりました。

                                                                                    制約事項の中、最大のリターンを得るのは、やはり「円」なのです。

                                                                                    一定の外周で最大の面積を得るのは「円」です。

                                                                                    一定の外周で横方向だけめいいっぱい伸ばし縦方向が0の四角の面積は0にならざるを得ません。

                                                                                    これは、一人の「人生の方程式」でも言えるのではないでしょうか。

                                                                                    [-] 2.3.2. 分業もかけ算

                                                                                    ベクトルを合わせる
                                                                                    ...もし社員一人一人がバラバラな考え方に従って行動したらどうなるでしょうか。...
                                                                                    (京セラフィロソフィ p.412)

                                                                                    組織論において、「ベクトルを合わせる」と言う表現はよく使われます。 京セラフィロソフィに置いても、この言葉は引用され、足し算以上の力が発揮される、 と書かれています。

                                                                                    一人の力が10であるとして、3人の力が合わさった場合、

                                                                                    それは 30 でしょうか?

                                                                                    それとも 10 x 10 x 10 = 1,000 でしょうか?

                                                                                    私は、これも人生の方程式と同様、かけ算で考えればいい、と思うに至りました。 つまり、 1,000 です。

                                                                                    足し算は、単なる力の和です。電池の直列接続や馬の荷引きであれば足し算となるでしょう。

                                                                                    しかしながら、高度に協力しあう人間社会の場合、一人(或いは1部署)が 欠けると全てが成り立たなくなります。 10 x 0 = 0 です。

                                                                                    また、インフラ担当と開発担当とテスト担当が協力しあって初めてアプリケーションは 完成します。

                                                                                    完成したアプリは言わば異次元の成果物です。

                                                                                    インフラ担当を3人集めてもアプリは完成しません。

                                                                                    私が「分業もかけ算」と思うに至ったのは、ここからでした。

                                                                                    [-] 3. 私の好きな言葉

                                                                                    TODO

                                                                                    [-] 3.1. 手の切れる製品

                                                                                    TODO

                                                                                    [-] 3.2. ど真剣

                                                                                    TODO

                                                                                    [-] 3.3. ドケチ経営

                                                                                    TODO

                                                                                    [-] 4. 参照

                                                                                    1. http://jfn.josuikai.net/josuikai/21f/main53-7.htm
                                                                                      • 具体的なエピソードも語られていて興味深い。





                                                                                    Generated by juli 2.3.2